アメリカの大学で野球をしながら何を専攻にするか?
アメリカの大学野球は、練習時間も限られ、単位と成績を残すために勉強をすることも当たり前です。その環境の中で、野球留学生がアメリカの大学で何を専攻するかは、各学生の「興味や将来のキャリアゴール」によって異なります。やはり大事なのは、「大学卒業した後にどんな仕事をして、どのくらいの給料をもらい、やりがいを創っていけるか」になってきます。
高校生で留学する前では、多くの学生たちは運動をしていたからスポーツ系の仕事とイメージしがちですし、日本の大学のように試験の段階で専攻を決めてしまう傾向があります。「俺文系だから」や「数学苦手だから」という理由で、興味のある専攻を変えるのは正直もったいないと考えています。しかし、アメリカの大学は、「自分が将来つきたい職業」から逆算をして、どの専攻でクラスを選んでいくかを考えながら進むのが一般的で、入学前に決めた専攻も、授業を取り出して関心が変わって専攻を変えることも一般的です
就職活動をする際に、トレーニングの勉強をしてきたからスポーツ系の仕事と限定する必要もありません。アメリカの大学野球を経験しながら、専攻の勉強をして、どのようなことを経験し、達成してきたか、改善してきたかという部分をもとに、さまざまな企業へ挑戦する学生も多くいるのが現状です。
ちなみに、MLB選手で、大学時代は音楽を専攻しながら野球を頑張り、MLBでもプレーし、引退後にプロのミュージシャンとして活動している選手もいます。運動生理学やトレーニングの勉強をし、トレーナーやコーチとして活動している選手もいます。
おすすめの専攻科目
実際にアメリカの大学では100を超える専攻があります。その中で、野球留学をしている学生たちがどのような専攻をとっているかをみながら、何を専攻にしていくかを考えるきっかけになってもらえればと考えています。
スポーツマネジメント
多くの学生たちが興味を示すのがスポーツマネジメントです。これは、スポーツ関連のビジネスや管理に関する知識を身につけるための専攻です。
スポーツマネジメントも文系と理系に分かれます。科学的にアプローチをすることもあれば、法律分野でスポーツやリクリエーションで裁判があった際の事例を元に、どこがダメで改善が必要だったのかを法律から勉強したり、実際に大学スポーツでビジネスやイベントの運営など実際に行っていったり、またさまざまなプロや大学スポーツのガバナンスを勉強して、いいスポーツの組織づくりを勉強したりもします。大学卒業前に、プロ球団などでインターンを経験したり、スポーツビジネスで大学院を視野に入れ、実際にMLBや日本のプロ野球で仕事を目指す学生もいます。
教育学
野球留学生が野球コーチや指導者としてのキャリアを追求する場合、教育学を専攻することが有益でしょう。アメリカでは、Physical Educationと呼ばれ、スポーツマネジメントや運動生理学も合わせ、両方のクラスを組み合わせていくことができます。進学した大学のコーチが教えているクラスをとることもあると思います。
日本で高校野球の指導者ということを考える場合は、アメリカの大学卒業後に日本の通信大学へ通いながら教員免許を取得することになります。大学によりますが、アメリカで取った卒業単位の半分近くは移行でき、2年ほどで日本の教員免許を取得することが可能です。
スポーツ科学・トレーニング
スポーツの身体的な側面に関心がある場合、スポーツ科学を専攻することで、運動生理学、栄養学、スポーツ心理学などの分野において専門知識を習得できます。
実際に解剖学のクラスでは、人体をもとに筋肉や骨の勉強をしていきます。一方で、運動生理学は、データを元に運動機能の改善やどのようなトレーニングを行っていくかなど、実践的なこともします。
ここ数年、スポーツでデータを多く用いられ、そのデータを元に戦略や改善を図るデータアナリストを目指す学生も出始めています。また、アメリカの国家資格でもあるアスレチックトレーニングを目指す場合は、資格を取得するのに大学院までの進学が必須となっています。大学での専攻分野も、進学する上で大事になるので、大学のトレーナーや教授と確認しながらクラス取得をしていくことをお勧めします。
コミュニケーション学
野球選手はしばしばメディアとのコミュニケーションが求められるため、コミュニケーション学を学ぶことも有益かもしれません。コミュニケーション学を学ばば、メディア対応や広報活動に関するスキルを磨くことができます。
実際に、大学でコミュニケーションを専攻し、チームで放送番組を作るところから、キャスターや運営するスタッフまで経験をした学生もいました。
また、会社へ就職した場合に、やはりお客さんや会社内でのコミュニケーション能力と仕事の成果で出世や昇進が決まるので、英語でどのような会話を心がけていくかという部分を勉強をするのもありだと考えています。
ビジネスまたは経済学
スポーツ関連のビジネスや経済に興味がある場合、ビジネスまたは経済学を専攻することが、スポーツ産業におけるキャリアの幅を広げるのに役立つかもしれません。一般的なビジネスの概念から実際の企業調査や会計・経理、法律なども勉強をしていくことになります。
「自分は独立をしたい」と思うのであれば、自分がどんな武器(=物や商品、サービス)をもち、お客さんに提供して喜ばれているかを考えておいてください。また、独立した場合は、サラリーマンのように毎月決まった給料が銀行に入ってくるのと違い、大きく稼げることもある一方で、うまくいかなくなりお金がなくなってしまうこともあります。国への申告も必須なので、収支と税務関係もしっかり勉強しておくことをお勧めします(大学時代に英語ですが、勉強をします!)。
まとめ
野球留学生は、野球への情熱と同時に、将来のキャリアを考え、それに合った専攻を選ぶことが重要です。なかなかイメージしづらい場合は、「どんな会社で、どんな仕事をしているか」イメージしながら、30歳の時にどんな仕事をして、どのくらい給料をもらっていて、どこに住んでいて、結婚して家族がいるか、どんなことを趣味にやっているか考えて、それが実現できるにはどんな会社でバリバリ働いていけばいいかを考えてみてください。
大学や専攻に関する具体的な情報は、進学予定の大学のウェブサイトや、進学後にカウンセリングサービスを通じて入手し、将来像から逆算をしていくことをお勧めします。