【インタビュー】日本の強豪校からアメリカへ――野球留学1年目で得たもの(陸さん)

覚悟を持って選んだ挑戦

――日本の大学進学ではなく、アメリカで野球を続けるという決断

私がアメリカへの野球留学を選んだ理由は、単に「海外で野球がしたかったから」ではありません。
施設が整い、効率的で実戦的な練習が行われているという話を聞き、「この環境に身を置けば、今の自分を根本から変えられるかもしれない」と感じたことが大きなきっかけでした。

日本の大学に進学するという選択肢もありましたが、心のどこかで「このままでいいのか」という不安が消えませんでした。一度きりの人生を、後悔のないものにしたい。そう考えた末に、アメリカという未知の環境へ飛び込む決断をしました。


留学して初めて感じた“現実”

――成長の裏側にあった戸惑いとプレッシャー

実際にアメリカで生活を始めてみると、想像以上に大変なことの連続でした。環境が良い分、求められる基準も高く、「ここでは甘えは一切通用しない」と日々感じています。

それでも、毎日が勉強で、刺激に満ちています。野球面だけでなく、人としても確実に成長しているという実感があり、「この選択は間違っていなかった」と思える瞬間が増えてきました。


最大の壁は“言葉”

――通じない悔しさと、逃げなかった理由

留学生活で一番苦労しているのは、やはり英語です。
知っている単語でも、会話のスピードが速すぎて聞き取れない。自分の考えを瞬時に英語で言葉にできず、もどかしさを感じる場面が何度もありました。

発音がうまくいかず、何度も言い直して笑われることもあります。それでも私は、聞くことをやめませんでした。友達が使っている表現やフレーズをメモしたり、教えてもらったりして、寝る前やちょっとした時間に見返す。分からないことはその場で確認して、今度は実際に使ってみる。この繰り返しをすることで、自分でこの半年で作ったメモノートには英語でいっぱいになりました。もっと実践で使える英語を身につけていきたいと思います。

「ここはアメリカ。周りにいる友達が一番の先生」

そう割り切ることで、少しずつですが確実に前に進めていると感じています。そうすることで、チームメイトやコーチも理解して、コミュニケーションが前よりもスムーズになってきています。


大学でのリアルな1日

――自己管理がすべての生活

平日は朝7時に起床し、カフェテリアで朝食を取ります。授業は曜日によって時間が異なり、午前中に集中しています。授業後は昼食を取り、午後からはチーム練習です。

冬学期からはウエイトトレーニング(Lift)とバッティング練習(BT)に分かれ、私はLiftを1時間、BTを約45分行っています。練習が終わった後も、足りない部分のトレーニングやストレッチ、打ち込みを自主的に行う選手が多く、自然と「自分もやらなければ」という意識になります。

夜は、大学の課題や今日習った英語の勉強をして、22時頃には就寝。早寝早起きの生活が身につき、体調管理も含めて“自分で自分を律する力”が鍛えられています。


日本とアメリカの野球環境の違い

――「量」より「質」、そして責任

日本とアメリカの大きな違いは、練習の考え方です。
アメリカでは、限られた時間の中で「何を目的にやるのか」が常に明確で、効率を非常に重視します。

特に違いを感じたのはウエイトトレーニングの環境です。
正直に言うと、日本の高校時代とは比べものになりません。設備の充実度、トレーニングに対する知識、フィジカルへの意識、どれも高いレベルにあります。

その分、結果が出なければ出場機会も得られません。
すべてが自己責任という環境が、自分を大きく成長させてくれていると感じます。


苦しんだからこそ得られた結果

――自分の武器を取り戻すまで

野球面では、最初はマウンドの高さやピッチャーの変則的なフォームに対応できず、単打しか出ない時期が続きました。「自分の長所が消えている」と感じ、正直かなり悩みました。

そこで原点に立ち返り、自分のバッティングを見直しました。アメリカではあまり行われない素振りを、あえて徹底的に行い、自分の感覚を取り戻すことを優先しました。

その結果、秋の短大でのワールドシリーズで2試合連続ホームラン、最終戦では逆転タイムリーを放ち、MVPを獲得することができました。苦しい時期があったからこそ、得られた結果だと思っています。


留学を目指す人へ伝えたいこと

――準備しておくべき“本当の力”

英語は文法や単語だけでなく、「発音」まで意識して準備しておくべきだと感じています。
YouTubeなどを使って実際の英語に触れ、表現や言い回しを学ぶことは、現地で必ず役立ちます。

野球面では、フィジカルの基準を日本よりも一段、二段上に設定することが必要です。
日本で通用していても、アメリカでは当たり前に負ける。その現実を受け入れた上で準備してほしいです。


これからの目標、そしてその先へ

今後は4年制大学への編入を目指し、野球と英語の両方のレベルアップに全力で取り組みます。
将来的には日本のプロ野球に挑戦したいという目標があります。

一方で、肘の状態次第では野球が続けられなくなる可能性もあります。その時でも、英語力を武器に、野球とは違う世界で生きていける力を身につけたい。そのための努力も、今続けています。

アメリカ留学は、野球以上に「生き方」を学ぶ場所です。
これからも一日一日を大切にし、この挑戦を自分の人生の大きな財産にしていきたいと思います。

大阪桐蔭高校→Indian Hills Community College
北川 陸

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