アメリカの大学野球リーグについて

野球留学では、野球なのか英語力なのか将来的なキャリアなのかといった「何を優先に考えていくか」によって、所属するリーグや大学も変わってきます。

今回はアメリカの大学野球リーグについて詳しく解説します。アメリカの大学野球には、以下のような組織が存在します。

  1. NCAA(National Collegiate Athletic Association)
  2. NAIA(National Association of Intercollegiate Athletics)
  3. NJCAA(National Junior College Athletic Association)
  4. CCCAA(California Community College Athletic Association)
  5. NWAC(Northwest Athletic Conference)

これらの組織では、大学野球において異なるレベルの競技が行われています。NCAAは、最高峰のレベルであり、NAIAやNJCAA、CCCAA、NWACなどは、それぞれのカテゴリーで競技が行われています。

今回はそれぞれの組織の特徴について解説をします。

NCAA

NCAA(National Collegiate Athletic Association)は全米大学体育大会のことで、アメリカの大学スポーツを統括する組織です。NCAAは1906年に設立され、現在では約1,100の大学やカレッジが加盟しています。

NCAAは、大学スポーツにおける規則作りや運営、大会の開催などを行っています。大学野球においても、NCAAがDivision I(約310校)、Division II(約280校)、Division III(約400校)の3つのカテゴリーに分けて運営しており、各カテゴリーでリーグ戦やポストシーズンが開催されているのが特徴です。

また、NCAAは大学スポーツにおける選手の資格審査や、違反行為の取り締まりなども行っており、選手たちの健全な競技環境を守る役割も担っています。

アメリカの大学野球リーグであるNCAAのレベルは非常に高く、多くの有望な野球選手たちが参加しています。特に、Division Iのパワー5カンファレンスと呼ばれるリーグ戦に所属するチームは、野球界で非常に有名であり、高いレベルの競技が展開されています。

パワー5カンファレンスに属するのは下記の5つです。

  • アトランティック・コースト・カンファレンス
  • ビッグテンカンファレンス
  • ビッグ12カンファレンス
  • パシフィック12カンファレンス
  • 南東部カンファレンス

NCAA Division I

NCAA Division Iは、アメリカの大学野球リーグの最高峰であり、多くの有望な選手たちが参加しています。そのため、NCAA Division Iに所属する選手たちはMLBドラフトで非常に高い指名を受けることがあります。

実際に2021年のMLBドラフトでは、NCAA Division Iの選手が全体1位から9位までを独占しました。NCAA Division Iの実力の高さがうかがえます。2021年のMLBシーズンには、NCAA Division I出身の選手が約77%を占め、選手数は約4,000人にも上っています。

NCAAで活躍した選手たちは、メジャーリーグベースボールのチームから指名を受け、プロ野球選手として活躍できる可能性が高いことが分かるでしょう。多くの有名なプロ野球選手たちがNCAAで活躍した後、メジャーリーグベースボールで輝かしいキャリアを築いています。

NCAA Division II

NCAA Division IIは、アメリカの大学野球リーグの中で2番目に高いレベルのリーグです。NCAA Division Iと比べると知名度や規模は劣りますが、それでも多くの有望な選手たちが参加しています。

NCAA Division IIからも、MLBドラフトで指名を受ける選手たちがいますが、その数はDivision Iと比べると少なくなります。具体的な数字としては、2021年のMLBドラフトだとDivision Iからは214人選出されたのに対し、NCAA Division IIからは30人が指名を受けました。2020年のMLBドラフトでは、1巡目から5巡目までの指名でDivision IIの選手はいませんでした。

このNCAA1部や2部で1年前からプレーするには、高校で飛び抜けた野球の成績や実力に加え、大学野球のコーチ陣からの入部許可、高い英語力、アメリカのセンター試験のSATやACTを受け、基準点を突破する文武での成績が必要があります。全ての条件をクリアし、NCAAへの登録もできれば、晴れてNCAAでプレーすることができます。

NCAAで野球で返済不要の奨学金を獲得できるのは、1部と2部のみとなります。3部には、野球への奨学金の付与はなく、勉強で成績の残した場合のみとなります。

NAIA

NAIA(National Association of Intercollegiate Athletics)は、アメリカの大学スポーツ連盟の一つで、NCAAに次ぐ規模を持つ組織です。NAIAには全米の約250の大学・カレッジが所属しています。NAIAの野球リーグには、約200の大学チームが所属しています。これらのチームは地域別に分かれてカンファレンスを構成し、シーズン中にリーグ戦を行います。また、リーグ優勝チームは、NAIA野球選手権大会に出場し、優勝を争います。

NAIAの野球レベルは、やや高いレベルとされています。多くの優秀な選手が在籍しているため、プロ野球チームからも注目されています。また、NAIAの野球リーグはNCAAとは異なり、JUCOレベルの選手も参加できるため、より多様な層の選手がプレーしているのも特徴といえるでしょう。

NAIAに入部するためには、野球の個人能力が認められる必要があります。入学条件をクリアすれば1年目から返済不要の奨学金が付与されます。NCAAの登録条件より、NAIAは基準が厳しくなく、返済不要の奨学金が多く付与される傾向があります。

NJCAA

NJCAA(National Junior College Athletic Association)は全米ジュニアカレッジ体育協会のことで、アメリカの短期大学のスポーツ組織の1つです。それぞれ東部、中部、西部地域で3つの地域に分かれ、短期大学のスポーツチームが参加している大会やリーグを主催しています。

NJCAAの野球部門には下記の3つのカテゴリーがあります。

  • Division I(約220校)
  • Division II(約120校)
  • Division III(約100校)

Division Iは最も競争が激しく、多くの有望な選手たちが在籍しています。Division IIやDivision IIIの大学は、Division Iよりレベルは落ちますが、強豪チームも多く所属しており、毎年NCAAの1部リーグや2部リーグに選手を送っている大学も多くあります。

NJCAAの野球リーグは、4年制大学に進学する前に野球選手としての経験を積む場として、そして、学費を抑えるために2年制の短期大学に進学した選手たちが野球を続ける場として非常に重要な存在です。

NJCAAに所属する選手たちは、4年制大学への編入やMLB入りのチャンスを追求することができます。NCAA1部でプレー機会が少ない選手が敢えて短大でプレーをし、別のNCAA1部リーグへ編入するということもあり、野球レベルを間近で感じることができるのもNJCAAの特徴といえるでしょう。

また、NJCAA1部の大学では返済不要の奨学金が付与されるケースもありますが、多くの短大では奨学金が付与されるケースは稀です。当プログラムでは、英語力や野球に慣れることと、費用を鑑み最初の2−3年は短大へ進学し、文武で成績を残すことを優先に考えています。

CCCAA

CCCAA(California Community College Athletic Association)は、カリフォルニア州の短期大学のスポーツ組織の1つです。

CCCAAには約100校ほどの野球チームがあり、野球リーグは北部地区と南部地区の2つのカテゴリーに分かれています。さらに、各地域ごとに分かれたカンファレンスでは、春学期のシーズンで40−55試合ほど行われ、勝ち上がったチームでプレイオフやチャンピオンシップを開催しています。カリフォルニアは年中通して気候が良く、プレーする機会に恵まれています。それゆえに野球レベルは高く、多くの有望な選手たちが在籍しています。

実際にCCCAAに所属する選手たちは、4年制大学やプロのスカウトからの注目を集めることが多く、将来的にプロ野球選手として活躍する選手も多くいます。当プログラムでも多くの選手がプレーしています。

NWAC

NWAC(Northwest Athletic Conference)は、ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州、およびブリティッシュコロンビア州の北西部にあるコミュニティカレッジのための大学スポーツ連盟です。

NWACの野球リーグには約30のチームが所属しており、州ごとに位置するコミュニティカレッジから構成されています。これらのチームは、シーズン中にリーグ戦やトーナメントを行い、最終的にはNWAC野球選手権大会を開催しています。NWACの野球リーグには、優秀な選手たちが多く所属しており、4年制大学やプロ野球チームからも注目を集めています。

最初の2−3年間はNJCAAやCCCAAなどの短大でプレーをし、その期間で得た野球と勉強の成績をもとに4年制大学のNCAAやNAIAへ編入し、大学卒業を目指すことになります。

野球留学において「何を優先に考えていくか」によって、所属するリーグや大学も変わってきます。学生と親御さんと共に話し合いながら進学先を決定していき、野球留学で結果を出すためにサポートしていきます。

岡野

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