2024年 MLB球団インターン体験談- 嵯峨 菜都子さん

今回は、2024年のMLB球団インターンを経験した早稲田大学2年生 嵯峨 菜都子さんのインタビューをお送りします。

私は野球をはじめ様々なスポーツが大好きであるため、将来はスポーツ関係の仕事に就けたらと考えていました。そんな中このインターンを見つけ、いつもは観戦するだけの試合の裏側にはどのような仕事があるのか、また野球の本場であるアメリカではどのような運営が行われ、ファンを楽しませているのか実際に学びたいと思い、このインターンに参加することを決めました。

今回一週間インターンに参加した中で、様々な観点において驚いたことがありました。
まず球場や試合に関してですが、AAの球団であるため、球場はこじんまりとしており、観客もそんなには多くはないだろうとはじめは想像していました。しかし2021年に建てられたという球場には売店やバーをはじめとする飲食店、ウィチタ野球の歴史に関するミュージアムなど観客を楽しませる施設が充実していました。試合においても約6000人の観客が訪れる日もあるなど、日本のプロ野球にも劣らない環境でした。球場を一周できる広いコンコースには、地元の企業や団体の出店があり、地域のお祭りといったような雰囲気でした。また観客として子どもの数が非常に多いという印象を受けました。キッズゾーンがコンコース上に設置されていたり、試合前後やイニング間で子ども向けのイベントが多くあったりと、まさに「ボールパーク」として地域の子ども達の集いの場になっていると感じました。

また働く環境についても、アットホームな雰囲気に驚きました。私が球場内を歩くとすれ違った職員やアルバイトの方が手をふって挨拶をしてくれることが多く、1週間という短い期間でしたが球場のコミュニティに自分も属しているのだなと実感することができました。職員やアルバイト、また観客の垣根を越えて球場全体で人々の交流が盛んな様子はとても印象に残っています。オフィスでも職員の方が子供やペットを連れてきており、なかなか日本の職場では見られない光景だなと驚きました。アットホームさはCEOなど重役の方がいる会議でも表れていて、若い職員をはじめ皆さんが和気藹々と話し合いながら会議が進められていました。業務としては売店への備品・食料補充、広報活動、チケット販売、球場案内などを体験させて頂きました。事務的なものから体力的なものまで経験したことで、様々な仕事のおかげで毎日の試合が成り立っているのだと理解することが出来ました。

そして今回のインターンで私は、自分が考えた企画を実行するということを大きな目標としていました。「Wind Surge」になぞらえて、風を起こすうちわを観客に配るという企画を考案し、まずはうちわの現物を100枚と宣伝用のチラシを作成しました。うちわは裏面を空白にすることでファンの方が各々メッセージを書いたり、デコレーションできるようにしました。またチラシの作成にあたっては職員の方に何度も英語をチェックして頂きました。私は「風を起こす」という意味で「Let’s make wind」と企画名を考えていたのですが、このフレーズは意訳的に「オナラをしよう」という意味になると教えて頂き、間一髪で大失態を逃れました。うちわやチラシが完成したところで、GMの方に企画の趣旨を説明し、実行の許可を頂きました。企画が通るか不安な思いもありましたが、一通り説明した後すぐに「Go for it!」と言われこちらが呆気に取られるほどでした。

「皆がやりたいことを応援してくれる」と他の職員の方が仰っていたように、本当に風通しの良い職場で、この環境こそが観客を楽しませる運営に繋がっているのだと感じました。配布の直前には、SNS広報の方に宣伝をお願いしたり、自由にうちわを装飾できるブースを設置したりしました。いよいよ配布の時となり、入場してくるファンの方に声をかけうちわを配り歩きました。その日は子ども向けのイベントが開催されていたこともあり、沢山の子ども達がブースを訪れ、うちわを装飾してくれました。うちわをパタパタと振る子供が映ったビジョンや、席でうちわを使ってくれている様子を見た時にはとても達成感があり、感激しました。今回すべて英語で企画を提案し、運営することは私にとって大きな挑戦でしたが、職員の方々の温かいサポートのおかげで無事終えることができました。

この1週間はただ球場の業務を理解出来ただけでなく、自分の成長を実感することが出来た1週間でした。英語を流暢に話せたわけではありませんでしたが、自分の野球に対する熱が伝わったことがこのインターンを実りあるものにした要因だと思います。 実際に働いている方からも野球や地元が好きでもっと盛り上げたいという熱意を感じたことから、人を楽しませるためにはまず運営側の情熱が大切なのだと思いました。私を一人のスタッフとして受け入れて頂いた球団の方々に感謝します。

今回のインターンを通して、球場やスポーツチーム運営に関してさらに興味を抱きました。今後は日本の球団のインターンなどに参加し、野球また地域の振興に繋がるようなことをしたいと考えています。

早稲田大学2年 
嵯峨 菜都子

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