2024年 MLB球団インターン体験談- 柴田 航さん

  こんにちは,神戸大学農学部3回生の柴田航です.私は2024年8月27日から9月1日にかけてWichita Wind Surge主催のインターンに参加しました.以下に今回のインターンの体験談を記しています.

  1. 参加しようと思ったきっかけ

私が本インターンへの参加を決めたきっかけは純粋な好奇心です。私は農学部に所属しており,本来講義では灌漑学や土質工学などについて学んでいます。これらの学問や関連する職業は必要とされるものであったり、魅力的な要素があったりします。しかし三回生の就職や院進学を考えるタイミングで、学部の分野以外に触れてみて将来像へのヒントにしたいという好奇心が生まれました。

そんな中、Instagram上で本インターンの広告を見つけました。普段から野球観戦が趣味であるため球団運営の裏側に興味があったこと、またアメリカやMLBに対する純粋な興味から、すぐに本インターンに興味を持ち参加を決めました。本インターンに参加することでスポーツビジネスの現場やアメリカの雰囲気を理解するだけでなく、自分自身の視野を広げていければと考えました。

(写真2)アイディアのプレイヤーカード       自分(柴田航)とカードを作りに来た観客
  1. 本インターンで学んだこと,感じたこと

 本インターンでは1日ごとに球団内の各部門の業務体験をしたり、自分から球団職員の方に球場での企画を提案したりするものであり、各部門の業務過程,実際の業務の様子、そして企画立案や実行のプロセスを理解することができました。そんなの中で印象的だった学んだこと、感じたことは主に3つあります。

 1つ目は、企画の立案および実行を行う楽しさについてです。私は本インターンで来場したファン向けのプレイヤーカード(写真1見本)を作る企画を提案し、実行しました。日本にプロ野球チップスカードやBBMカードがあるように、アメリカにもTOPPSカードがあったり実際にWind Surgeが選手カードを販売していたりしたことから、このアイデアは生まれ、この考えがハマったのか多くの観客に楽しんでもらえました。(写真2)最初は「失敗するのでは」「自分の意図が観客に伝わらないのでは」という不安があったため、自分がイメージした面白さが国籍も人種も違う相手に伝わった時の爽快さは帰国した今でも忘れられません。また企画の立案は消費する相手が何を求めるのかだけでなく、相手のバックグラウンドや企画のコスト、手段などを考慮する楽しさがあることを本インターンで学べました。

 2つ目は、相手に聞き返す勇気とメリットについてです。私は高校・大学で外国人との交流をある程度は行なっていたこと、また自分の趣味で海外旅に行っていたことからある程度は英語を聞き取れるという思いでインターンに参加しました。いざ始まってみると早口であったり発音が分からなかったりしてうまく聞き取れず初日に打ちのめされたことは今でも鮮明です。「他のみんな(参加者)はわかったのだろうか」「雰囲気で察すればいいのでは」と悩んだことは良い思い出です。

しかし、分かったフリでは相手との会話が発展しなかったり自分自身にもどかしさが残ったりするのではと考えて、インターン中は分からなかったことは聞き返したり、自分の解釈の確認を行ったりするのを心がけました。実際に聞き直すと実は聞き取れていたことに気づいたり、会話が発展して相手の意図がより鮮明に理解できていたりして、結果的にこの行いがリスニング力を上げることに繋がりました。聞き返す勇気やメリットは日本で生きる上でも共通するものではと考えます。理解を中途半端にしない心がけは、相手に対する誠意でもあり、結果的に信頼や自己能力の向上をもたらすということを学べた気がします。聞き返す機会を与えてくださった球団職員の方には本当に感謝しかありません(写真3)

(写真3)自分と球団職員の方々

  3つ目は,球団のプロモーションのクオリティについてです。本インターンでは球団が試合のイニング間に行うプロモーションに関わることができ、Wind Surgeを初めとするアメリカの球団がプロモーションの点で日本の球団とどのような違いを持つのか理解できたと思います。理解した違いの中で最も印象的だったものは、観客参加型のプロモーションが多いという点です。本インターン中には観客によるキャラクターレース(写真4)やバルーン相撲、アイスキャッチなど観客も一緒となり企画を完成させるものが多く、観客が大いに盛り上がっていたことは印象的です。ここで見た来場した子どもたちがプロモーションを心から楽しむ光景は、あまり日本では見たことがありませんでした。観客が試合観戦で受動的になりすぎないようプロモーションに参加型の要素も入れていくことを日本は見習うべきではないかと思います。

(写真4)キャラクターレース
球団マスコットWindyとのツーショット

今後に活かしたいこと

    今回のインターンでは実際に業務に関わることで球団経営の現場を少しでも理解できたのではと思います。

    「球団は日々観客が求めるものを追求して観客を喜ばせる」

    これはプロスポーツ産業だけでなくその他の産業でも通じるものではと思います。実際に業務に触れたり、自分で企画を行ったり、自分としてもただ面白いと思うものを作るのではなく、相手が求めるものを追求していきたいと思います。「ものを生み出す喜び」を忘れないでいきたいです。

    神戸大学農学部3回生
    柴田航

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